2026.07.04
在宅医療栄養療法

不登校は治せる! 【動画⑪ 神経発達症との関わりについて】

*****本動画の概要*****

・神経発達症とは。HSPとは。

・腸内環境と症状の強さとの関連は、かなり以前から指摘されている。
・ミネラルの積極的な補充は、ぜひ試みたい。
・副腎皮質機能低下症やうつ病・不安障害は合併しやすい。対応方法はこれまでの動画で述べてきたことと同じ。

●神経発達症は、数百以上の遺伝子と環境要因が複雑に絡み合って発症すると言われています。ですので、原因はこれだ! あるいは、必ず治る! などと極端に単純化して論ずるのはとても危険です。その前提の上で、本動画では環境要因、つまりなんとかできるかもしれない要因についてのみ、述べたいと思います。

○朝起きられない、食べられない、不安だ、と来院される方の多くが、背景に神経発達症的な気質をお持ちだと感じています。神経発達症とは、注意欠陥多動障害(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)、などを含む特性のことです。○「繊細さん」と呼ばれるHSPは現時点では神経発達症には含まれていませんが、実際には非常に似通っており、治療を検討する上において、敢えて区別して考える必要はないと思います。

 これらの気質をお持ちの方というのは、独特の感性を持ち、こだわりを持ち、対人関係や集団そのものが苦手という方が多いです。

○欧米にはずっと以前から、食物アレルギーは小児の湿疹や喘息、消化管症状、などを誘発するだけでなく、脳にも影響を与えて行動を変化させるのではないか、即ち、神経発達症と関連しているのではないか、と考える研究者がたくさん存在します。

○神経発達症、特にADHDでは消化器症状を有する率がとても高いこと、またその消化器症状の重症度と、ADHDの症状には相関関係が見られること、などが多くの論文で示されています。

○特にエポックメイキングと言えるのが、2011年にLancet誌に掲載された論文です。4歳から8歳の、薬物療法や行動療法を受けていないADHDの患児100名を、アレルゲン除去食群とそうではない食事の群とに無作為に割り付け、9週間の観察を行いました。お示ししている図の横軸は時間経過、縦軸はスコア化された症状の強さです。9週間で、アレルゲン除去食群では明らかに症状のスコアが改善し、その後食事内容を元に戻したところ、13週間後には症状のスコアも元に戻ってくる傾向が観察されました。全体として、このアレルゲン除去食はADHD患児の症状を64%軽減させた、と評価されました。

○このように、食物アレルギーと神経発達症とは深く関連しており、神経発達症の症状の少なくとも一部は後天的な要因であると推測されているのです。グルテン・カゼインフリーには真っ先に取り組むべきであると言えるでしょう。

○もう1つ、ぜひ取り組んでみてほしいことがあります。それは食事からのミネラルの補充です。数十年前に比して、世の食品からミネラルと食物線維が激減していて、それが近年、神経発達症が激増した理由の1つだとする説があります。加工された、保存が利いて見栄えの良い食品ばかりが流通していることの弊害です。

○神経発達症のお子さんには極端な偏食を多く見かけます。「白いものしか食べられない」というのが典型的です。やや手間はかかりますが、煮干しや昆布、かつお節を煮詰めてとった出し汁を少量ずつ、与えてみるのはどうでしょうか?加工塩でなく、ミネラル豊富な海塩で味を調えてください。出し殻も捨てずにふりかけなどとして利用するのがいいでしょう。

 鉄、マグネシウム、亜鉛、カリウム、カルシウム、ヨウ素、などの重要なミネラルを効率よく摂取することができます。

○調理の手間を省くのであれば、予めそういった海産物を粉砕するなどした「天然ダシ」という商品が、液体や粉末の形で市販されています。これを食品にかけて食べるだけでも、ミネラルの摂取量をぐっと増やすことができます。


○朝起きられない、食べられない、不安である、眠れない、と当クリニックを受診される方の多くが、背景に神経発達症的な気質を抱えていると感じられることについて。3つの要因を推測してみました。
 一つには、食物アレルギー、即ち腸内環境の悪化という共通の原因を有していること。
 また一つには、「生きづらい」と表現される神経発達症の症状の多くが、健常者にはなんでもない日常を、大きなストレス要因としてしまっていること。このことは副腎皮質機能低下症と関連していると思います。
 また一つには、なんらかの代謝の目詰まり要因が共通であること。代謝の歯車を当たり前に回すために、他者の数十倍の補酵素を補う必要があることについては、既に述べました。

○これらいずれについても、対応方法はこれまで副腎皮質機能低下症、あるいはうつ病・不安障害への対応方法として解説してきたものと同じです。

 引き算で腸内環境を整え、足し算で十分な量のタンパク質と補酵素を補う。特にADHDの落ち着きのなさについては、Mgを始めとしたミネラル全般とナイアシンの十分な量の補充が鍵を握ると感じています。積極的にしっかりとした量を補ってみていいでしょう。

●神経発達症にしばしば処方されている、中枢神経に働いてぼーっとさせる薬は、特殊な場合を除き、お勧めしません。これらは基本的に神経を抑制する薬剤であり、手っ取り早く落ち着きは得られるかもしれませんが、長期間使用した場合に脳の発達にどのような影響があるかについては、まだ分かっていないのです。

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